パプアニューギニアで継承されてきたフェラチオのイニシエーション

ペニスの文化史」には「精液の文化史」という章があります。

今回はニューギニアのエピソードを紹介させていただきます。

ニューギニアのパルヤ族とサンビア族は独特な信仰に基づいたイニシエーションの儀式を行っていた。

少女には初潮があるが、少年(5-10才)の身体はまだ精液を作り出すようにはなっていないので、フェラチオの儀式によって成人男性の精液を飲まなければならない。
大人の精液を飲むことで少年自身が精液をつくりだせるようになると考えられてからである。

彼らの生活を調査したアメリカの人類学者ギルバートは、サンビア族ではイニシエーション儀式の際少年は年長者のペニスをフェラチオして精液を飲むことを強制されると記録している。
この儀式は5-15年もの間繰り返し行われる。

精液は母親の乳と対立するものとして、少年のペニスを大きくし、子どもの身体から大人の身体への変身を助け、また少年を女たちよりも強く大きく優れたものにして、女性を支配し導くことができるようにするために行われる。

この儀式は村の礼拝の家で行われる。
少年たちは童貞の男たちと閉じ込められる。
この童貞の男たちはかつては飲まされる側の少年たちが成長したもので、童貞の男性たちが必要な理由は、過去にこのイニシエーションの儀式を受けて以来まだ女性に汚染されていないので、その精液は最も男らしさを保っているとされたからである。

母親から引き離された少年の不安をやわらげるため、少年たちと童貞の男たちはカップリングされ、ホモセクシュアルな関係が提供される。
この関係は教育的目的なので一時的なものである。

ジャーナリストで作家のクリフォードによれば、他のニューギニアのケラキ族ではフェラチオではなく肛門性交で精液を受ける。

これらのニューギニアのイニシエーションの儀式は、古代ギリシヤにおける少年と年長者との儀式的な肛門性交行為と対比させることがでる。

古代ギリシヤにおける儀式的な肛門性交は、母親側に存在している少年を象徴的に去勢し、肉体関係を通じて男としての価値、勇気、知性、名誉、徳を伝え、成熟した「市民」に成長させ、母親への依存を消し去るためのものであった。

「男らしさ」を身につけさせるためなら座学やただの教練なんかでもよさそうなのに、ホモセクシュアルな関係性を結びさらに性行為も行わねばならないってのは、なんだかいろんな理由が潜んでいそうで興味深いですね。

参考図書;ペニスの文化史  Marc Bonnard (原名), Michel Schouman (原名), 藤田 真利子 (翻訳)

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