前立腺マッサージの修了証を受領した翌日、バンコクからチェンマイに移動しました。
チェンマイの郊外にあるサラ寺院というところで、7日間のれいき合宿レッスンに参加するためです。
レッスンは翌日からですが、前乗りで夜にサラ寺院入りします。
このレッスンに誘ってくれたのは、3年前にチェンマイのタイマッサージスクールで繋がった女の子なんですが、彼女の仲間と一緒に、夜Grab Car(配車アプリ。超便利)を使ってサラ寺院に移動することにしています。
それまでの時間、彼女の誘いで、Old Medicine Hospitalというタイマッサージスクールに併設されているハーブサウナで一息つくことにしました。
設備は地方の温泉地の共同浴場的質素さで、入場料100バーツで貸タオル30バーツ。
誘ってくれた女の子は、私が空港について食事をとっている間にすでにサウナ施設に入っていたのですが、「JKさん!受付で絶対ハーブスクラブ買って塗って!すごいから!」と興奮したメールをくれていたので、とりあえず購入。
「ハーブスクラブってなに?」と思いましたが、ハーブと塩を練り込んだペーストでした。40バーツだったかな?
脱衣場から出たものの、いきなりサウナに入るのか、まずハーブスクラブ塗りたくるのかがわかりません。
こういうのって、体に塗った状態でハーブのスチームで蒸すもんなんだろうな、と判断して塗りたくろうとした刹那、40代坊主頭のお兄さんが声をかけてくれて、「まずあそこでシャワーを浴びてからハーブサウナに入るんだよ。それから塗るんだよ」と教えてくれました。
「これこれ、こういう現地の人とのふれ合いが旅の醍醐味」とニヤつきながらシャワー室、といっても薄いのれんしか目隠しがない、に入り栓を開くと水じゃねえかこれ。
とはいえ、気温は高いしシャワーが水ってのはタイでは特にめずらしくもないことなので、全身を水で洗ってからハーブサウナへ。
ハーブサウナの名のとおりハーブの香りが充満したスチームがとても気持ちよいのですが、足元から原スチーム?が出ているようで熱いったらありゃしない。
ヒーと思っていると、今度は先に入っていた50代おじさんが「そこは熱いのが出るところだからこっちに来るといいよ」とこれまた親切にアドバイスをくれました。
チェンマイ到着初日にこの親切攻勢。嬉しくてたまりません。
一旦外に出て、ハーブスクラブのペーストを塗りましたが、先程の40代坊主頭のお兄さんがこっちへ来いと手招きしています。
気づかないうちに自分がなにか粗相をしてしまったのかとちょっとビクビクしてお兄さんの近くに行くと、スクラブを渡せと。
使いたいのか?と思っていると、お兄さん、私の背中にスクラブを。
「届かなかろう」と塗ってくれている。
なんちゅう親切なお兄さん。
「シャワー室で(サウナパンツの)中にも塗るといいよ」とまでアドバイスをくれたので、シャワー室に入ってパンツ脱いでちんこにも袋にも丁寧に塗り込んでいると、坊主のお兄さんもシャワー室に入ってきて自分の体を水で流し、また出ていきました。
一通り塗り終わったので、「さて、スチームで蒸すか」とサウナ室に入ろうとしたところ、先にシャワー室から出て椅子に座っていた、さきほどの坊主のお兄さんに呼び止められました。
どうやら、そのまま入ったら匂いがサウナ室に充満してしまうので、塗ったら外で20分程度放置して、シャワーでスクラブを流してからサウナに入るのが流儀のようです。
すでに濡れた体にスクラブのペーストを塗りたくっているので、私の体からペーストがボタボタ垂れ落ちています。
日本だったら誰かに責められる状況なので、「床をこれ以上汚さないためにはどうしていたらよいものやら」と立っていると、坊主のお兄さんが、「座りなよ」と言ってくれました。
スクラブの匂いがサウナ室に充満するのはマナー違反だけど、ベタついた体で椅子に座ることは問題ないようです。
こういう「よくわかんないけど、結果的にゆるい」ってのがタイのいいところだと思います。
じっと座っているのもなんだと思ったので、思い切って坊主のお兄さんと喋ってみることにしました。
聞くと、お兄さんは現役のお坊さん。
私はガイドブックで「一般の人はお坊さんに話しかけてはいけない」と読んだ気がしていたので、「話しかけてごめんなさい」と謝るとキョトンとしています。
誤った理由を話すと、「それは誤解。喋っても構わないし男性同士だったら触るのも問題ない。女性とも喋っても構わない。ただ、女性には触ってはいけない」と、私の体を触りながら教えてくれました。
お兄さん、バーテンやったりクラブで働いていたけどそういう生活に飽きたので出家したとのこと。出家理由のカジュアルさから、逆にタイの人の信仰心の生活への浸透っぷりを感じました。
こうして文字にするとあたかもスムーズに会話が進行しているようですが、英語がそれほど達者ではない同士の会話なので、この程度の内容ですでに20分が経過。
「では」とシャワーでスクラブを流してびっくり。女の子がメールを打ってまでも私に勧めた理由がわかりました。
お肌トゥルットゥル。
まじトゥルットゥル。
サウナ室で再び体を蒸しましたが、蒸した後もトゥルットゥル。
すごいな、ハーブスクラブ。
水シャワーを浴びていると、さきほど足元の件でアドバイスをくれたおじさんがシャワー室へ入ってきたのですが、軽く驚くようなことをされました。私にとっては大したことではなかったのでここでは詳細を割愛します。
女の子と出口で待ち合わせる時間がきたので脱衣場に入ると、お坊さんも着衣中でした。
例のオレンジの僧衣なんですが、一枚の布を器用に巻いたりくぐったりという装着過程がとても興味深かったので、厚かましく「見ていていいですか?」とお願いしたら「スマホでとってもいいよ」とまで言ってくれました。
あいにく私はスマホを外のセキュリティボックスに入れていたので辞退しましたが、そういえばお坊さんもシャワー室おじさんも、スマホを鍵もないこの脱衣場に置きっぱなしでした。
このスマホ置きっぱにも、私に声をかけてくれる振る舞いにも、背中にペーストを塗ってくれる親切にも、この土地の他人に対するスタンスが現れていると思いました。
「他人を見たら泥棒と思え」がデフォルトの土地ではこうはいきません。
そんなこんなで、時間つぶしで来ただけなのに、かなり濃厚な思い出の場所になりました。
空港から、あるいは旧市街地からGrabバイクなどを使って行ってもそれほどお金はかかりません。
チェンマイに行く予定のある方の参考になれば幸いです。