カルサイネイザンを勉強していくと道教の考え方に触れていくことになるのですが、道教では「セックスはガンガンすればいいけど射精はしないようにするんやで。」という教えになってます。
私は「射精しない人生って何のための人生かッ!」と思い、カルサイネイザンの考え方やポイントなどは男性機能ケアに取り入れるけど、そこの部分は採用しないと固く心に誓っている有り様です。
さて、そんな未熟な私の後ろ支えとなりそうな、「射精をしたほうが心と体の健康にいいですよ」という研究結果があるので、その内容を紹介させていただきます。

第2回:なぜ射精でリスクが下がるのか?
― 前立腺の“掃除”メカニズムと老廃物の排出仮説 ―
前回の記事では、射精の頻度と前立腺がんリスクとの間に明確な逆相関があることをご紹介しました。
本稿では、その背景にある可能性のある生理的メカニズム、特に「老廃物の排出」と「前立腺の機能維持」という観点から検討します。
射精と前立腺:器官の役割と分泌
前立腺は、精液の約30%を構成する前立腺液を分泌する器官です。
この液体には、精子の運動性を助ける成分(クエン酸、亜鉛、酵素など)が含まれています。
前立腺液は、射精の際に精嚢液や精子とともに尿道を通って排出されます。
「前立腺の停滞」仮説(prostatic stagnation hypothesis)
一部の研究者は、射精の頻度が低いことで前立腺液が長期間とどまり、老廃物や潜在的に有害な物質(発がん性代謝物、炎症性サイトカインなど)が蓄積することを指摘しています。
このような状態は以下のようなリスクを引き起こす可能性があると考えられています。
- 前立腺内の慢性的な炎症
- DNA損傷の蓄積
- 酸化ストレスの増加
- 局所免疫の異常反応
この仮説に基づけば、定期的な射精によって前立腺液を排出することは、器官内部の“クリーニング”として機能する可能性があります。
関連研究の動向
Riderら(2016年)の研究では、「射精頻度の高さは、前立腺がんの発症そのものよりも、高リスクがんの発症率の低下と強く関係していた」と報告されています。
これは、軽度な炎症状態の蓄積が、より悪性度の高い腫瘍形成と関係している可能性を示唆します。
また、Boston Universityによるプロステート組織の分子解析では、射精頻度が前立腺内の代謝・遺伝子発現パターンと関連することも報告されています(2018年)。
尿路との関係と“排泄系”としての役割
前立腺は尿道の途中に位置しており、泌尿器系と生殖器系の交差点にあたります。
このことからも、前立腺液の“定期的な排出”が滞ることで局所環境が悪化する可能性は、解剖学的にも想定可能です。
射精による前立腺周辺の筋収縮は、血流促進・分泌物の排出・うっ血防止といった複数の生理的利点を同時に生み出していると考えられます。
次回予告
第3回:「射精がストレスを和らげる科学的理由」
― 神経ホルモンと自律神経系の視点から ―
※参考文献:
- Rider JR et al. Eur Urol. 2016;70(6):974–982.
- Leitzmann MF et al. JAMA. 2004;291(13):1578–1586.
- Dimitropoulou D. et al. Prostate Cancer and Prostatic Diseases. 2018
- Harvard T.H. Chan School of Public Health. 2016 summary
- Boston University Study 2018: Ejaculation and gene expression in prostate tissue
「射精による前立腺周辺の筋収縮は、血流促進・分泌物の排出・うっ血防止といった複数の生理的利点を同時に生み出していると考えられます。」とのことですが、前立腺マッサージにもその効果がありそうですね。